その人は虚ろな目で外を眺めていた。 さらさらの金髪は風によって乱れ、日光に反射してきらきらと輝いている。 アランより繊細なつくりの天使と見紛うような顔。 細く長い足。力なく垂れた細い腕。 小さく空いた薄い唇は、桜色だった。 物憂げな顔が彫刻のようで、思わず見とれずにはいられないほど美しかった。 まるで物語の王子様だった。 「アベル?」