彼氏ができてもすぐ別れたり、好きな人ができてもうまくいかなかったり、あたしはフラフラしてた。
秋野からは、やっぱりたまに、ふらっと連絡はきてた。
その頃から、秋野が働いてる居酒屋に通うようになった。
また久しぶりの再会で、最初はぎこちなかったけど、やっぱりすぐに昔みたいに戻れた。
「何飲む?」
「ソルティドッグ」
「だろーな」
……秋野は、あたしの、もう昔のことなのに、些細なことでも覚えててくれてる。
ソルティドッグしか飲まないことも。
冬はホットミルクティーしか飲まないことも。
あたしが覚えてる秋野の情報なんか、仕事で髪の毛がぺしゃんこになるからって、常に帽子を被ってるってことぐらいなのに。