「おう、久しぶり」
「久しぶり」
秋野は変わってなくて。
久しぶりで最初はぎこちなかったけど、1時間ぐらい話してたら、やっと昔みたいに戻れた。
「東京、行かなかったんだな」
「うん」
「こんな近くにいたのか…」
「…うん」
彼氏ができて、あたしは東京に行くのをやめた。
彼と離れたくないって思ったのはもちろん、
東京に行ったら、秋野に二度と会えないと思ったのも、少し、あった。
あたしと切れたあと、秋野が彼女と同棲し始めたのは、共通の友達に聞いた。
あたしんちから歩いて10分のとこだとは、思いもしなかったけど。
「じゃ、そろそろ帰るね」
「おう、遅くまで悪かったな。気を付けて帰れな」
「歩いて10秒ですけど」
「お、そーだな。ま、気を付けて」
秋野の優しさは変わらない。
1年振りの再会。
秋野とは、友達になれるのかも、って思った日。