「嘘だ…嘘でしょ!?お、おじさん!嘘だよね!?だって、ユナは元気だったし…嘘だよ、だよね!?」
首を横に振る女の子の父親
「産まれた時から心臓が悪かったんだ…」
「何だよそれ…嘘だよ…ユナが死んだなんて……嘘だッ!!」
男の子は病院を飛び出した
男の子はあてもなく、息が苦しくても走り続けた
《ユナが本当にいなくなったんなら…僕はもうこの世にいる意味はないよ…僕の意味はなくなる…》
男の子は自分の息がこのまま止まってしまえばいい
そうなるまで走り続けるつもりだった
でも、そんなこと出来なかった
男の子は気がつくと病院のベッドに寝かされていた
ベッドの横では男の子の両親がいて、涙ぐんだ目で男の子を抱きしめた
「ジノ、馬鹿なことは止めて」
母親の言葉に男の子は自然と涙がこぼれ落ちた
それは
《あぁ…ユナが死んだのは現実なんだ》
と思い知らされたからだった
病室の窓から春の始まりの匂いが漂っていた…