教室に帰ると、あの静けさがいっぺんに騒がしくなり、りなもこちらに来た。
「もー校長の話長くない!?あの校長嫌いだわー…(笑)」
「ぁーわかる。しゃべり方と言い話の長さと言い…ほんと嫌だ(笑)」

「みなさん、席へ戻ってください!」

突然先生の声が響き、しぶしぶ席へ戻ると、クラスに1人はいる問題児がずっとしゃべり続けていた。

「席へもどりなさぁい!」

さっきより大きな声を出した先生の言葉を聞くと、「はいはい。わかりましたー。」
と言いながら席へ戻っていった。

なんか怖そうだなーとか他人事みたいに思ってた私だけど、この子があとでどんなに心強くついてくれるか、まだこのときの私にはわかっていなかった。

「ぁ、そのハンカチ!」

休憩時間になり、長らく言ってなかったトイレに行くと、さっきの問題児が話しかけてきた。

「そのハンカチお揃いだよ!!!」
「これ?」

そのハンカチを手の上に出すと「ほら!」と言って、相手の方も手の上に出した。

「ねぇ!かほってよんで?そっちは?なんて呼べばいい?」
「ぇ、えっと…りん!」

いきなりでびっくりした私は、焦り気味で返事をした。

ほんとは良い子なんじゃないかな?とか思ってみたりも。

「よろしく!」
「うん!よろしく!」

「一緒に教室戻ろ?」

「ぁ、うん。」

休憩時間がまだあと5分もあった私たちは、ゆっくりと歩いて教室へ戻った。

チャイムがなり、1時間目の学活がはじまると、先生の「なんでもバスケットをします!」という声が聞こえた。
回りのみんなは「ぇー」とか「それ古いよ!」とか言ってたけど、そういうのが好きな私は正直どっちでもいい。と思ってた。

結局やることになり、椅子を丸く並べ始めた。
絶対真ん中には立ちたくない。と思ってた私は、ほんとに全力でやった。


[ドンっ!]

ぶつかったな…。と思った時にはしりもちついていて「ぁ、ごめっ!」謝ってきた男の子がいた。

顔をあげると、「大丈夫?」って言ってきた。
怖そうな顔なのに優しいんだな…なんて思いながらも最後の椅子に座ると「まじかよー!」って言いながらさっきのこが笑ってた。

このときもうすでに、恋に落ちていたのかもしれない。