「ねぇねぇ!どこの小学校から来たの?」

「ん?あぁ…〇〇小学校。って知らないよね?(笑)」
「ごめん、知らないかも(笑)」

山の方にあった私の中学校を知っている人は3、4人くらいしかいなかった。
「ね、友達になろ…?」
「ぇ…いいの?」
「うん!もちろん!」

自分から声をかける。ということができない私にとっては、すごく嬉しいって思えた。

「じゃぁ…りんって呼んで?」
「わかった!なんか似てるけど…りなって呼んでね?」

人見知りがなさそうな「りな」はこれから大切な親友となっていく。

「みなさん席についてください!」

いきなり知らないおばさんが入ってきてそういった。
誰?担任の先生だろうか。

「今日から1年1組担当の、村上です!」

元気でかっぱつな先生だなーなんて思ってたら入学式の準備は始まっていて…

「お前どっから?」
「は?なにが?」

隣の席の男子が声をかけてきた。
もともと男の子とのほうが、仲が良かったため、言葉を感じ悪く返してしまった。

「小学校だよ。」
「あぁ…〇〇小学校。…どうせ知らないでしょ?」
「…しらない。…どこにあんの?」
「山の方だよ。ここから車で15分くらい。」
「遠くない?」
「バスでいくから別にそんな遠く感じない。」

会ったこともない人と、こんなに会話が続くとは思っていなかった私は、正直びっくりしていた。

第一印象はかっこいい。話しやすい。そんなことしか思ってなかったけど、いい感じの人だな。とは少しだけ想っていた。

「廊下に並んでください!」

ざわざわと騒がしかった教室が一気に静まり返り、一斉に廊下へと並んだ。

名札の横につけている「入学おめでとう」という花をみていると、「あぁ、ほんとに中学生になるんだな」と思い、ドキドキしていた。

体育館の前にくると、中はもうざわざわしていて、正直卒業式より緊張した。

「一年生の入場です!」
の声に合わせ、1組の私たちが最初に体育館へ入る。
吹奏楽部の演奏に、びっくりして体をびくつかせた。

パイプ椅子に座ると、演奏が終わり、校長先生の話が始まった。

5分…10分…時計を見てた私は、ものすごく時間が遅いと感じ、お尻も痛くなってきた。

もともと落ち着きがない私にとっては、その場にじっとしているのが苦痛で、最終的に寝ちゃおうかな。とかも思ったりしてた。

「これで、入学式を終わります。」

の言葉が耳に入り、やっとここから抜けられる…と思うと自然と力が出た。
ここからが苦痛の始まりなのに…