「………綾乃」
「ん?」
俺に目も向けずに短い返事だけ返ってきた
綾乃の目線はサクラに固定
「………」
猫なんか預かるんじゃなかった
綾乃を猫に取られた
「…颯太?」
そこでやっと、俺の無言に異変を感じた綾乃が俺を見た
そして、何か納得した綾乃が俺に近づいて来て…
床に座っていた俺の胸に背中を預けて座った
「颯太、妬きもちしたの?」
首を捻って俺の方を向きながら嬉しそうに言う綾乃
そんな綾乃を後ろから抱き締める
「妬いた。猫でも浮気は許さないよ?」
「サクラは女の子だよ?」
知ってるよ
サクラが雌猫なのは
でも、例え雌猫でも俺から綾乃を奪うなんて許さない
昔の俺には無かった独占欲が働く
綾乃を好きになればなるほど大きくなるこの感情
…妬かれるのは嬉しいけど、妬くのは嫌だな