「いーい?ちーちゃん!
好きなら言わなきゃ伝わんないんだよ。」


私が好きっていう?
私が先輩に?

全く想像がつかなくて
「ありえないって」
と笑うと日本人形みたいに綺麗でかわいい
あのマユちゃんが鬼のような形相になった。




「ちーちゃんって周りのことになると真剣で熱くなるけど、


自分の事、関係ないって思ってる人に
恋が実るわけないんだから!!

いい人なだけじゃダメだよ。」



・・・・いつにもまして語るね、マユちゃん。



まぁマユちゃんがいうと
妙に説得力はある。


だってマユちゃんは
恋愛の成功者だもん。



カワイイって
だけじゃない。


頑張って、頑張って、
挫けずに好きな人に対して
積極的になった。



そういうマユちゃんを
近くで見てきたから、
何もしてない自分が
先輩と付き合うなんて
ダメだとよく思う。



「私さ。別に先輩と付き合わなくてもいいんだ」



好きだけど。

別に見てるだけでいいや。

あの「惚れた」だけでも
私には十分な気がする。


あの笑顔はまだ心に
焼き付いている。



付き合ったら、
全部知りたくなるもんね。


まぁ、
付き合わなくても、
先輩のこと知りたいけど。



《ユウカって誰?》
きっとワガママになる自分が目に見える。


「彼女だから」「スキだから」って
先輩に甘えて、勝手に嫉妬して
そんな自己中で傲慢な私が、
すごく目に浮かぶ。


私と付き合った先輩を考えると、
先輩の傷ついた顔さえも思い描いてしまう。




だから、
付き合うとか、
ユウカちゃんに
私はフタをする。




先輩の大切な人って
気になるけど。

先輩にあんな顔をさせる人って
すごく気になるけど。