「智里。

あんた今日休みなさいよ。


顔色悪いわよ。」




制服に着替えて
玄関でローファーをはく
私にお母さんがいった。



これだけ聞くと、

娘を心配する健気な母親にもみえるが、


顔はものすごくいい笑顔。



母さんは、
とても腹黒いぞ。



「私、皆勤賞狙ってんのー。


イッ君でさえとってるんだから
私も取らなきゃ馬鹿にされるのー!!」




ちなみにイッ君とは従兄の大学生。



私は一人っ仔なため、
イッ君を兄のように慕っている。

すごいムカツクけど根はいい人だから・・・。
まぁそれが余計にムカツクんだけど!!




イッ君はいわゆる出来る奴で、

顔は自分と血がつながっているとは思えないぐらいにいいし、

なんだって出来る器用人だし、

運動神経抜群だし、

勉強だって古典以外なら出来るし、

彼女は常に二人以上いる。




んで、そんなイッ君に
なにもかも劣っている私は
いつだって会えば馬鹿にされる。



今でも彼はうちに遊びにくるから、
奴が持っている私のイジリネタは多い。




馬鹿にするならもうくんな!って、
一回ぐらい胸はっていってみたいけど、

イッ君がこなければ、
それはそれで寂しいからいわない・・・。





ちなみに一人暮らししてる
イッ君のアパートは
結構うちん家と近いから、
よくうちまでご飯を食べに来る。




「馬鹿ねぇ。樹君は優しいからそんなこと気にしないわよー。」



お母さんは
昔からイッ君に大して甘い。



イッ君、
お母さんの前で猫被ってるし・・・。
本当にムカツク奴だ。



「お母さんはイッ君が大学生になってもガキみたいに私を馬鹿にして楽しむような人間だと知らないだけよー!!」



「まぁ、そんだけ元気があるなら大丈夫ねぇ。いってらっしゃい。髪、気をつけてね」




髪、気をつけて??
まぁいいや、



「いってきまーす。」