涙、出てきた。
『泣くなよ。』
『う、ヒックんう、ひぃわは』
松木さんに抱きしめられた。
『なんだよ、色気ね、声だして。
だからガキは嫌なんだよ、
行って来い、一平ってやつのとこ。』
『松木さん!ありがとう
私、一平くんのとこ、行ってみる!』
私、もう、逃げない!
『おお!いいね~レンレン!
かっこいいぞ!なんか、男きたけど、
一平ってやつじゃね?』
『ほぇ?』
『田中さん!』
『一平くん!』
『田中さん!なんだよ、俺が海浜公園
行こう、っつったら走って逃げる
くせに、ほかの男と海かよ!
海の近くじゃいけなかったのかよ!
しかも誰だよ、その男!』
つっこむところ、そこかよ!
『なんだよ、ガキ。松木隼人だけど』
ま、松木さん!
『松木隼人って、松木隼人?
え~~~~~~!本物じゃんか!
って、そんなの今はどうでもいい、
なんだよ、走って追いかけたら
のこのこと男の車にのってさ、
俺めっちゃ惨めだったのに、
しかたないから、一人で観覧車
乗ったらさっきの男といるんだぜ、
しかも、抱きしめられてるし、
だからあわててきたんだよ、
ハァ、ハァ。』