「お花、踏まなかったよ。やったね!」




「……あっそ」




安元くんは首を傾げながら、先に歩きだす。





「えーっ、安元くんに言われたとおり、ずっと小さないいことを探してるのに!それはないんじゃない~?」




「うっせぇって…いちいち口に出すなよ。ウザ…」




ウザとか言いながら、そこまで嫌そうな顔をしていない。




ホントに嫌なときは、すっごく嫌そうな顔をするもんね?




あたし、知ってるんだから。












この1年で、わかったこと。




安元くんは、嬉しいときほど……不機嫌を装う。




「あーっ、ホラまた」




「今度はなんだよ……」




「田中先生から、メールが来たよ!卒業おめでとうだって」




「お前っ……いつの間に、兄貴とメールしてんの?」




「だって~!春奈が勝手に教えたんだもん。安元くんには、来てないの?」




「来るかよ……男兄弟がそんなの…気持ちわりぃ」















実は安元くんのお兄さんは、あたしたちの学校を辞めて、




今、違う学校で数学の教師をしている。




あれから、安元くんと話し合って、全てのわだかまりがとれたんだとか……。





お兄さんと春奈はもう付き合ってないけど、





幼なじみの、いい関係は続いてるんだって、春奈から聞いた。





「あ……」




安元くんは、ケータイを見て固まってる。