「小中~、急げよ。もう時間過ぎてんぞ。お前はまた遅刻か」





「きゃ~、急がなくちゃ!みんな、また後でねっ!」





あたしは後輩たちを残し、安元くんと体育館へ向かう。

















「安元くん、どうしてここに?」




「たまたま通りかかっただけだし」




「通り道じゃないよね!?」




「どーせ後輩につかまってるだろーって思ったから、助けに行ってやったんだろ?あのまま卒業式出ない気だった?」




ううっ……





この人には、いつもなんでもお見通しなんだよね。





あたしの抜けまくりなところを、いつもさり気なくフォローしてくれる。





この1年間、ずっとそうだった……。





「あーーーーーーーーーっ!!」




あたしが突然大きな声を出すと、安元くんが足を止めてあたしをニラんでくる。





「なんだよ!うっせぇな……」





「安元くんっ、小さな花が足元に!踏んじゃダメ~~~!」





「は……?」




呆れた顔を見せてくるけど、あたしはニッコリと笑顔を返す。