「すっかりラブラブじゃない、あんたたち。」


お弁当を教室で食べながら成実が言う。


「そ、そういう成実は?




お母さん特製の卵焼きを頬張りながら成実の話にすり替える。


成実から好きな人の話なんて高校入ってからほとんど聞いていない。



「成実、好きな人とかいないの?」



あたしがニヤッとしながらそう聞くと成実は一瞬くもった表情をして、



「…いるよ。でも絶対叶わない。だから誰にも言ってないの。」



と答えた。


「そっ…か。」


いつものあたしなら絶対に“誰なの!?”ってしつこいくらい聞くのに、なぜだか成実に聞けなかった。