「さっすが圭。和服も似合うね~
開会式、他のクラスの女子たちがキャーキャー見てたよ」
俊司が俺の衣装の着物姿を見て誉めてくれた。
「お前に言われても嬉しくないけど…まぁありがとう」
なんてむさ苦しい会話。
ついキョロキョロと探してしまうのはもちろんあすみ。
「あすみなら今トイレ行ってるよ。」
ひひっと楽しそうに言ってきたのは塚原だった。
「あぁ、そう。」
「あたしが相手だとずいぶんつまんなそーね。
まぁ…あんたの気持ちにはあたしも気づいてるからいいけどさ。
てかね、安藤に頼みがあるんだ。」
「頼み?」
俺が聞き返すと、塚原は真剣な顔で、
「もし、文化祭中にあすみに何かあったら助けてやって。頼んだよ!」
と言った。
「いってー…」
去りぎわに俺の背中に手形がつきそうなくらいの張り手も一発かましてくれた。