ドキッとして、その目に吸い込まれそうな感覚になったときに、


「あすみ、ありがとな?」

と耕平くんに言われてハッとした。


それでも安藤くんはあたしから目をそらさない。


何か変な気持ちになって恥ずかしくなって、


「教室戻るね!」


と行こうとしたら安藤くんはあたしの腕をつかんだ。


「あすみ、俺───」


何か言いかけていたのは分かったけど、あたしはごめんと言ったあと安藤くんの手をはらって走って校舎内に戻った。


「うわぁー、なんだったんだー!!!」


顔があつい。
胸はドキドキする…。


安藤くんのあの目が頭から離れなかった。


思えば、いつも安藤くんがあたしをかわいいって言ってくれるとき、はぐらかしてばっかりで、恥ずかしくて、じっと目を見たことってなかったかも…、


て!!!
何意識してんのあたし!!!


もう傷つくのは嫌だから、誰かを好きになんてならない!


廊下をうろうろしながら顔をパシッと叩くと、


「何してんのよあすみ…」


と引いた目で見てくる成実に会った。