「ところでさ、いいの?安藤のこと。」


成実があたしの顔色をうかがいながら聞く。


「…さっき圭くんに聞かれたの。

俺はあすみを幸せにできてるか?って…。

幸せだよって言えなかった。
本当は言いたかったんだけど…。

圭くんが何を思ってそんなことを言ってるのかわからなくて。

本当はあたしじゃなくて美香ちゃんが「バカ!」


突然大きな声で叫ぶ成実。


「え…?」



「あすみの好きな安藤は、そんな何かを計算して言葉を言うような人だった?


あすみ…、もう疑いたくないんじゃないの…?

安藤なら疑わないですむって思ったんじゃないの?


たった1回すれ違ったくらいでダメになるような2人じゃないでしょ?」


成実の厳しくもあたたかい言葉に涙がでた。



「圭くんは…、」



「「不器用で直球しか投げれない人」」



成実とあたしの言葉が重なった。


同時に1時間目が終わるチャイムが鳴り響いた。


「行ってくる…!」