「よくできた彼氏ね。」


席替えをして隣どうしになれた成実が言う。


「でもね…、あたしさ自分がわがままになってる気がして…。

圭くんてやっぱりモテるし。
あたしが彼女でいいのかなとか思っちゃうこともあるし。」


すると、前の席の耕平くんが振り返って、


「本人に直接言えばいいのに。」


と言ってきた。



「そんなこと言っても、圭くん優しいから優しい言葉をかけてくれちゃうと思う…。」



あたしが言うと、



「そう。
あすみは安藤のことほんと、好きなんだね。」


と言って前を向く。


隣を見ると、成実はどこか寂しげに遠くを見ていた。