傷ついたわけじゃない。

でも俺は付き合った以上、寺崎を好きになろうと思ったし、彼氏として寺崎の力になろうと思っていた。


俺は正直、不器用だし、フォローとかうまくできるタイプじゃない。


よく言われる言葉は『オブラートに包め』だ。

恋愛にむかないながら頑張ろうと思っていた矢先の出来事で、なんとなくため息が出て、帰ろうとしていたら、


「遥香ー、」


寺崎を呼ぶ声がして足を止めてそっとのぞくとその声は蒔田あすみだった。


「ねぇ遥香、いい加減そんな恋愛やめなよ。

あたし安藤くんのことよく知らないけど、もし遥香がそんな風に思ってるなんて知ったら安藤くんも傷つくよ。

安藤くんは遥香の飾りじゃないんだからさ?」


説教でもない、だからって軽く言ってるわけでもない。


蒔田あすみは自分なりの考えをはっきりと寺崎に言っていた。


なんとなく、俺の気持ちを代弁してくれた彼女のおかげで心が軽くなった。


それからまもなく寺崎とは別れて、俺は蒔田あすみが気になり出した。