あの変なメモに書いてあったのは電話番号だった。
訳がわからないまま、男は言われた住所に行ったのだ。


そこは普通のボロい平屋だった。

なんだ、期待してたのに。
でも宿無しにはありがたい、よくわからんが住ませてもらうよ。


家に入ると、見覚えのある風景。

ん?
俺の家族、住んでた部屋とまったく同じ、家具、配置。

一体なぜ?

ふと男は鏡に写った自分を見ると、髭もきれいに剃られて、髪もかっこよくさっぱりカットされている。


何故?


すると、誰か部屋に入ってきた。


嫁だ、生き別れた嫁。

でも、なにかが違っている。

そう、若返っているのだ。

もちろん男も。

男は瞬間悟った、過去に戻ったと。
長い間ホームレスをしていて、昔自分が住んでた家も忘れてしまっていた。


なんと、かわいい嫁にかわいい娘、一夜にしてホームレスは最高の幸せを手に入れたのだ。

借金もない、お金はある程度ある。
愛する家族、家。
失っていたものを取り戻した。

男はこの上ない幸せをかみしめた。