ミカエル様、聞きましたか。

なにがじゃ?

今の叫びが聞こえなかったんですか。


苦しめないでくれ、と言われてもねぇ。
苦しみ、悲しみよりさらにひどい事が起きる。それを考えると、苦しんでいる人 達を見て、なんとかしてあげたいのはやまやまだが、どうしようもないのだよ。

地球上の生命体が一瞬でなくなるんだ。 草木も枯れてしまうんじゃよ、わしらも 人間の手伝いや、人生を見届け送りだす仕事もできなくなるじゃろう、わかってくれ。
未来の為だ。


わかっています、苦しんでいる人を見るのが辛いんです。


まだまだ修行が足りん、レックスは人間じみておるのぅ。
お前は天使じゃ、人間ではないのじゃ、情に流されるな。

これも修行のうち、辛抱する。


はぁ、ミカエル様。 私は、天使をやめたいです。

何を抜かしておる! お前は何年天使をやっておるんだ、千年以上たつんだぞ!いい加減に優しすぎるんじゃお前は。
優しいだけが天使ではないのだ。
涙を飲んで、しょうがなくやっているわしを見とるじゃろう。

ミカエル様、悲しくてしかたありません。


いずれおさまる。泣きたければ泣け。


天使の仕事も楽じゃない、人間のほうがよっぽど楽だ。

身の回りの人物、出来事だけで過ごしていける人間がうらやましい。
僕は世界中の幸、不幸を目の当たりにしなければならないのだから。
人間の何万倍も悲しみ、何万倍も喜ぶ。
いつまで続くんだか…