「そうですか。たまにあなたの姿を見掛けることもあって、今日も散歩にいらしているようなので声をかけてみたんですよ。私も生来、桜が好きでよく来るんですよ」
 
婦人の口調はいつの間にか、砕けた感じになってきている。
そして呟くような小さな声で、こんなことも言った。 
 
「そして、あの人に対する贖罪のために…」