あの話を聞いた日から一週間近く経っていることに今更ながら気付いた。
 
久しぶりにこの並木道を歩いていたら、ふと思い出したのだ。
この一週間、私は実家に帰っていたのだった。
 
あの婦人はいるだろうか、と思い辺りを見渡してみたが、婦人の姿はなかった。 
どうしたのだろうと思いはしたが、その次の日も、そのまた次の日も婦人は現れなかった。
 
そのうち私も婦人のことを忘れてしまった。