聖は、静かに携帯を手にし、輝緒へ電話をかけた。
理由は告げず、ただ“今から、実家へ向かう”とだけ伝えて。
原チャリに乗って…実家へ向かう中、ハンドルを握る手は、神経を失ったかのように…麻痺していた。
通夜と葬式を終え、聖は母親と姉との静かな夜を迎えていた。
呆然と一点を見たまま、誰も口を開こうとしない。
重い空気に押しつぶされたかのように、聖はこらえ続けてきた思いを、一気に吐き出した。
「…ごめん。俺の…せいや」
両手で自分の髪を強くつかみ、涙を流す。
2人はうつむく顔を上げ、聖を見る。
そして、同じように…荒く涙をこぼした。
「しょ…うは、悪くない…。…悪く…ないからっ」