だが、すぐに我に返り、顔を伏せる。
「見んなっ」
弱いところを…見られたくない。
聖は彼女に背を向けて、大声を張りあげる。
驚いた表情のまま、彼女は凍りついたかのように…動かない。
「…ごめん。帰ってくれ」
聖はうつむいて、再度…冷静に言い放つ。
彼女の足音は、ゆっくりと遠ざかっていった。
聖は、再び…涙を流す。
父親を追い出した記憶が、強く首を締め付けていく。
息が…苦しくてできない。