拓馬は、何か言いたげな顔で、ニヤニヤしている。
「…なんやねん?」
原チャリにキーをさしながら、聖は不思議そうに首をかしげた。
「幹とデートやしぃ」
ノロケた笑顔で答える彼に、聖はため息をついた。
「…ごちそうさん」
拓馬は、年中…彼女一色な男。
聖は、度々、そんな彼に言葉を失ってしまう。
すると、突然、ポケットから携帯が鳴り出した。
「お! 誰や誰やぁ? 女け?」
「…あほか」
冷やかしてくる拓馬に軽く返事をしながら、聖は携帯を手に取った。