広いリビングに残された輝緒は、ソファーに身を預け…天井を見上げた。
…倦怠期を迎え、喧嘩ばかりの毎日から逃げるかのように、“サヨナラ”を決断した美衣子。
そして、何も言わずに了承した自分。
それからは、互いに“友達”として接してきた。
でも、どこかで、ぎこちない空気は流れていた。
輝緒は瞳を閉じて、さっきの美衣子とのやりとりを思い出す。
“戻りたい”
美衣子の瞳には、あふれそうなくらいの涙。
それは、深いまばたきと共に、頬を伝っていく。
“もう…遅いって”
感情が揺れ動き、胸が苦しくなっても、彼女を抱きしめることは…できなかった。