静かな部屋に、テレビから流れる声と…かすかに聞こえる美衣子の泣き声が交差する。
聖が、今…彼女にしてあげれるのは、ただ眠ったフリをすることだけ。

すっかり…夜に姿を変えた空が、窓の向こうに映る。
いつの間にか、本当に眠っていた聖は、ゆっくりと瞳を開いた。
真っ暗な部屋の中、テレビは消され、体には薄い布団がかけられている。
聖は、ボーっとリビングを見渡した。
「…美衣子、帰ったんかな？」
すると、視界に入ったのは…輝緒の鍵。
聖はそれを見つけると、そっとベランダに足を運んだ。
「…やっぱり」
ベランダから見える場所に、２人の姿はあった。
聖はそれを確認し、ゆっくりと部屋に戻る。