聖は、急いで携帯を耳に当てた。
『はいはいはいっ!! もしもし!?』
舞は、元気よく声を張り上げている。
モヤモヤした気持ちは、一瞬にして消えていった。
「なんや、お前…。“はいはいはい”って」
聖は、にんまりとした表情で、クスクスと笑った。
『…何の用よ?』
少し間を置いて、いつもと同じ…ひねくれた口調に戻る彼女。
聖は、意識を耳に集中させて、向こうの状況を推測した。
ガヤガヤ言うてないってことは…帰ってきてるんやな。
聖は、舞が帰宅した後ということを察知して、ホッと胸をなで下ろす。