「…怒ったんちゃう?」
去っていく後ろ姿を眺めながら、美衣子は“マズイ”というかのような顔になる。
「大丈夫やよ。アイツは照れてるだけ」
輝緒はクスッと鼻で笑い、テレビのチャンネルを変えた。
「…でも、照れてるようには見えんかったけど…」
美衣子は、テーブルの上にあるハガキを、ぼんやりと眺める。
「アイツ、今日…やたらボーッとしてるやん? 自覚ないだけで、気になってると…俺は思う」
そう言って、輝緒は、聖の部屋に目を向けて、口元を緩めた。