そういい微笑んだ顔が俺の心臓を飛び跳ねさした。

な…んだ?今の心臓のはね方。

初めての感覚に戸惑っていたそのとき

「よしっ!」
という声とともに彼女がスクッと立ち上がった。
と同時に何かがカタッっとなった。
どうやら彼女のすぐそばに俺の弁当箱があったようだ。
びっくりした彼女は肩を少しあげ
俺の弁当箱を見た。
え?っとでもいいたそうな目をして
キョロキョロとあたりを見渡した。
その姿が小動物に似ていて俺はクスッと笑ってしまった。
その声に気づき俺のほうを向く彼女
「はぇ?」

変な声を上げてしまったことに彼女は顔を真っ赤にし
中庭からダッシュで逃げた。
彼女の三つ編みが揺れるのを見て単純に
(可愛いな…)と思っていた俺がいた。

ぼーっと彼女が走っていった方向を見ていた俺
名札の色が同じだったので彼女と俺は同じ学年だろうと思った。
ただ、俺は彼女をみたことがなかった。

俺はさっきまで彼女が座っていたところに
そっとすわり彼女と同じように空を見上げた。
そこにはひとつの雲があった。

少し歪だが、ハートの形に見える雲が。