「ごめん。…俺、好きじゃない子と付き合ったりとか…でけへんから」
野球部の部室に近づいたとき、突然聞き覚えのある声が聞こえてきた。
舞は校舎に身を隠し、こっそりとのぞき込んだ。
「じゃあ、これだけでも受け取って」
そこに立っていたのは、勇心と…塚本さんだった。
顔を伏せた彼女は、白い小さな紙袋を勇心に差し出している。
その光景を前に、舞の胸はズキズキと痛みを受けていた。
「…ごめんやけど、もらわれへん」