「…さぁ、頑張らな」
舞は重い腰を上げて、鞄の中からチョコを取り出した。
箱の中には、きちんとメッセージカードを入れている。
「…もうクラブ行ったんかな?」
今にも泣きだしそうな思いで、舞は野球部の部室へと向かった。
「…積もらんわなぁ、やっぱ」
渡り廊下で足を止め、空から弱々しく降る雪を見上げる。
…この雪みたいに、形に残らなくてもいい。
でも‥お願い、気持ちだけは伝えたいねん。
舞はごくりと唾を飲み、そしてまた走りだした。