夏子の発言に驚き、舞は声をあらげた。
「気づいてなかったん? 最近、あの人ら廊下とかですれ違うたびに騒いでんで。“舞ちゃん”とか言うてるのん聞こえたこともあるし…」
長い髪の毛を暑苦しそうにゴムで束ねながら、夏子はニヤニヤと微笑んだ。
舞は、信じられない気持ちで軽く笑い飛ばす。
「まぁ見ててみ、多分やけどな」
夏子は、得意げな笑みを浮かべる。
…まさかっ。
再度、音楽室に目を向ける。