「あ、瑞樹じゃん!」
後ろから俺の名前を呼ぶ声がした。
振り返ると、5mほど離れた所に立っていたのは、達也。
「もしかして瑞樹、店に来たのか?連絡くれって言ったのに」
そう言いながら達也はこっちに近づいてきた。
「ちょうど出てきた所。おいしかったよ。
達也は今から仕事?」
「あぁ、今日は夜番。
郁也、どんな感じだった?」
「あー…そこそこ…?」
思わず苦笑いで答えた。
傲慢な態度だったことは、ランチに免じて、あえて言わないでおこう。
「店長が郁也を思いっきり気に入ったみたいでさ、あいつ今日もフル出勤だよ」
「へぇ、すごいじゃん」
…なんだかんだ言ってあいつ、デキるからなぁ。
おまけに見た目までいいから、何でも得をするタイプだ。
「…あ、そちらは?」
ふと達也が視線を変えて俺にきいてきた。
つられて俺も成海さんの方を見る。
…一瞬見えた彼女の表情に、なぜか俺の胸がチクリと痛んだ。