拳を握る手に力を込めて勇気を振り絞る。



「…っ明日、時間ありますか…!?」



…声が力んでしまった。



俺たち以外誰の姿もない住宅街に、俺の声が不自然に響く。



手汗の量が半端ない。



「うん。何も予定はないけど、どうしたの?」



成海さんが答えてくれた。



俺の緊張をよそに、いつも通りの自然な表情。



俺の質問に、まだ何も勘づいていない様子。





…次の言葉だ。



今度こそ言えなければ、俺は本当のヘタレ男になってしまう。




すっと息を吸って、ゆっくり口を開いた。




「明日…俺とデートしてください…!」