~♪
家の中で鳴る携帯の着信音が聞こえた。
慌ててリビングに戻る。
―須賀達也―
机の上で鳴っていた携帯のディスプレイを一瞬見て、電話に出た。
『もしもし、瑞樹?』
「うん」
『郁也もうそっち行った?』
「うん、でももう帰ったよ」
電話の相手は、郁也の兄貴。
母親同士だけでなく、須賀家とは家族ぐるみで仲がいい。
『あいつ帰り遅ぇんだけど』
「これから買い物にも行くって言ってたからすぐには帰らないと思うけど」
『はぁー?マジかよ』
受話器の奥で不機嫌な達也。
さっきの郁也によく似たどす黒い声が時々混じる。