12月07日 今日も先に成海さんがバス停に立っていた。 まだ俺の存在に気付いていない彼女は、まっすぐと何かを見つめている。 山を下って近づいてくる、反対側車線のバス。 “南区経由、華咲海岸行き” 中央駅から隣街の海岸まで走る線だ。 そしてその車両の乗客は、たった1人。 成海さんの視線を奪う人 それは、パッと見俺たちと変わらないくらいの年頃の、茶色い髪の男。 こちらからは顔は見えない。