その後聞いた話によると、成海さんは、5つの小学校、3つの中学校、2つの高校を転々としてきたそう。
ほとんど1年ずつで転校なんて、よく考えたらあまり嬉しいことじゃないのかもしれない。
いいな、なんて軽々しく言ってしまったことに少し罪悪感を感じる。
――――――
「…なんだそれ。
俺、なんかその子あんま好きじゃないかも」
話が終わると同時に、郁也の口から悪態がとんできた。
「…は?」
「何か分かんねぇけど、お前の話を聞いている限り、俺の好みの性格じゃないわ」
そう言って机に肩肘をつく郁也。
金に近いくらいの茶髪を指先でいじりながら、眉間にしわを寄せて溜め息をついている。