「ま、心配しなくていいよ。お前の女を好きになることは絶対にないから」
「ん?」
…成海さんのこと?
「あんなズル賢い女、よく好きになるよな。俺はあんな奴、天に誓って有り得ねぇわ」
「…そこまで言わなくても…」
ほっとするはずなのになんだか複雑な気分だ。
…ていうか、どうしてそんなに成海さんのことを嫌うんだよ…
「…まぁ、あいつの男を見る目だけは認めてやるけどな」
「え?」
そう言って席を立った郁也。
一瞬俺を見て微笑んだ後、教室を出て行ってしまった。
…成海さんの、男を見る目…?
それって……
―――得体の知れないドキドキに惑わされながら、無意識に上がる口角を下げるのに必死な瑞樹でした✩
~瑞樹の疑惑~ 終わり。