少し高くなった声のトーンに顔を上げてみれば。
「前に瑞樹も、同じことを言ってた」
そう言って目の前の人がふっと笑った。
…不思議。
さっきまでの恐怖が、一瞬で消えてしまった。
瞬時に変わった穏やかな目に、なんだか吸い込まれてしまいそう。
「お世辞にもかっこいい男だとは言えないけど、…これからも瑞樹のことをよろしく」
そう続けた彼は、また少しだけ微笑んで、手に持っていた袋をわたしに差し出してきた。
「…瑞樹くんに直接渡さないの？」
「あんたが来てるんじゃ、俺が見舞ったってあいつは喜ばねぇ」
わたしの質問にそう答え、またさっきの表情に戻ってしまった。
