「俺、頼まれただけなんだけどな」
そう言ってにやりと余裕の笑みを浮かべる、俺の下にいる男。
憎いくらいに腹が立つけど、これが俺の兄貴。
「頼まれた?…どういうことだよ?」
睨みをきかせて問い詰める。
よく似ていると言われる、目の前の整った顔が俺は嫌いだ。
この甘いマスクで今まで何人の女を誘惑してきたのだろうか。
…結局成海サンもそいつらと同類かよ。
「離せ、郁也」
そう一言言われたかと思えば、瞬時につかまれた手首。
強く掴んでいたはずなのに、いとも簡単に剥がされてしまった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…