高校を卒業して、瑞樹と別れたその日。
家に帰ると、玄関に兄貴の靴があった。
それを見つけた瞬間、走ってリビングに向かう。
―――バンッ
「…っおい兄貴!!一体どういうことだよ!!!」
思いっきりドアを開け、ソファに座る兄貴めがけて一直線。
「おい…っいきなり何だよ!?」
「説明しろッ!!!!」
胸ぐらを掴んで馬乗りになる。
「説明って、何をだよ?」
「あの女のことだよ!!!」
「誰?」
「わかんねぇのか!?成海サンのことだよ!!
瑞樹の気持ちを知っているくせに、どうして邪魔するんだよ!!?」
「……」
罵声を浴びせる俺に対して、ムカつくくらい冷静な達也。
俺の顔をまじまじと見た後、ふっと一瞬、嫌みに笑った。