…気が付けば声が出ていた。 力んだ声が冷たい空気を伝って前方に飛ぶ。 「……何?」 足を止めた成海さんが、柔らかい髪を揺らして振り向いた。 「えっと…」 止めたくせにまた吃る俺。 どうしてこう、勇気が出ないのか… 目の前の成海さんが不思議そうに俺を見ている。 頑張れ、俺。 思っていることを、素直に伝えろ…! 「お、俺…っ」