――――プルルルルルルル…
『間もなく、発車します。ご乗車のお客様は―――』
駅に再度アナウンスが響いた。
同時に1人の駅員さんが成海さんの方へと走る。
一言二言話し、駅員さんに促されて車内に乗り込む成海さん。
ドアが閉まる直前に振り返った彼女と目が合った。
「……っ!」
え?
なに、聞こえない。
成海さんが口を開いたのと同時に、扉が閉まる。
彼女の声がこちらに飛んでくることなく、間を隔てられてしまった。
――――――ガタンッ……ゴトン…
大きな箱が3つ、ゆっくりと動き出した。
キィと音を立てながら、重そうに前に進もうとする。