「「え?」」
海斗くんと海斗くんママのきょとんとした目が俺を見る。
「海斗くんは俺に、大事なことを伝えに来てくれたんです。…成海さんが引っ越すって。
雨の中たった1人で、俺のために来てくれたんです」
海斗くんは悪くないと、事実を話す。
「…そうなの?」
「うん…。だってしらないなんて、みずきがかわいそうでしょ?」
「海斗…」
いなくなった理由を知った海斗くんママは、もう一度ぎゅっと抱きしめる。
腕の中にしっかり包まれた海斗くんは、少しだけ涙目になって、もう一度“ごめんなさい”と言った。
『―――間もなく、1番ホームに、列車が参ります』
駅構内にアナウンスが響いた。
ホームにゆっくりと電車が入ってくる。
「瑞樹、行け!」
郁也に背中を押されて、自然と足が出る。
「うん…、行ってきますっ…!!」