「ふふっ、瑞樹くんって面白いね」
成海さんがまた笑った。
面白いなんて…
……ま、いっか。
成海さんが笑ってくれるなら、俺は面白い奴でも何でもいいや。
「わたし、そろそろ帰るね」
「あ、うん、そっか」
「じゃあね、また明日」
俺に向かって小さく手を振る成海さん。
歩き出した後ろ姿が、夕日の逆光で微かに輪郭がぼやける。
何だかまた心が寂しくなってきた。
明日も会えるって分かったのに、明日も話せるって分かったのに…
…どうしてだか、彼女を引き止めたくてたまらない。
成海さんにはもう時間がないのに。
頭では分かっているけど、俺の心が矛盾している。
10m先の成海さんが……遠い。
「っ成海さん!!」