「2人とも顔を上げて」
そんな優しい声がした。
言われたとおりに顔を上げると、目の前には微笑んだ海斗くんママ。
「海斗をここまで連れてきてくれてありがとう。
いつの間にかいなくなっていた時は心配したけど、今あなたたちの姿を見て安心したわ。ありがとうね」
「あ、いえ…」
「俺たちは何も…」
…そんな言葉をかけてもらえるなんて、予想もしていなかった。
郁也も同じ思いの様子。
「でも、勝手にいなくなった海斗はあとでお仕置きね」
「えー…」
軽く一発頭を叩かれて、海斗くんの顔が青ざめる。
「…海斗くんは何も悪くないです」
思わず口を挟んだ。