入口から入って、無駄に広い構内を走る。
「海斗っ!!!」
前方の遠くから、若い女の人が駆け寄ってきた。
「ママ!!」
咄嗟にその人に向かって走っていく海斗くん。
勢いよく走ってきた女の人は、海斗くんのお母さんだった。
「もうっ、心配したのよ!1人で勝手に出て行っちゃダメでしょ!!」
「ごめんなさい…っ!」
海斗くんをぎゅっと抱きしめるお母さん。
安心の涙を流しながら海斗くんの頭を撫でる。
俺と郁也は、2人の傍に寄った。
「…すみません。俺たちが振り回してしまって…」
「申し訳ありませんでした」
揃って深々と頭を下げる。
心配していると分かっていながらも、連絡もしないで小学生を連れ回した。
突然の出来事だったとは言えど、責任は俺たちにある。