ドアが閉まった途端、すぐに走り出すバス。



車内の暖房が少し暑い。



「兄ちゃんたち、どこから走ってきたんだ?」


「坂下からです」


「へぇー!よくここまで走ってきたな」


「え?」



おじさんの言葉に、よくよく窓の外を見てみると、目の前には南高校。



いつの間にこんなところまで…



バスでも15分、20分かかる距離を、ほぼ同じ時間で走ってきたらしい。



…我ながら、すごいな。





「若い奴はいいなぁ。俺もこんな時代あったかなぁ」



そう言って微笑むおじさんの顔が、バックミラー越しに見えた。