「…え?」



…気づかなかった。



瞳を動かせば、容易く頬を流れる涙。



いつの間にこんなに溜まっていたんだろう。



「嘘じゃねぇなら、何でそんな悲しい顔してんだよ…」



郁也まで泣きそうな顔をして言う。



「…今のお前、成海サンと一緒じゃねぇか。
会いたなら会いたいって、…好きなら好きって、素直にそう言えよ。意地張ったって仕方ないだろうが…」



そう言いながらへたるように塀に寄りかかった。




…郁也の言葉は胸に沁みる。



意地を張っているというのも合っているかもしれない。





…だけど…




だけど俺は……